この間、縁があって神奈川の大磯町にいってきました。
何も前情報がないままで行ったのですが、歴史のある面白い場所でまるまる1日楽しめました。
町のいたるところに東海道のなごりの松の木が。
用事が済んだあと、ふらっと観光案内所に寄って、見所を教えてもらいました。小さな案内所だったけれど、職員の人がほどよく熱心に教えてくれて、散策開始。
駅も小さいけれど、平日の昼間だけれど人がたくさん。観光案内所にも私以外にも何人かいた。
まずはメインストリートを歩いていくと、町には古い建物がたくさん残っていて、センスのいい小さな個人のお店がたくさんありました。
そして町役場の近くにある鴫立庵。「しぎだつあん」と読みます。読めない。
日本三大誹諧道場の1つで、湘南発祥の地でもある歴史的な場所。今でも各種カルチャー教室も開催されていたり、この鴫立庵をモチーフにしたアート作品が作られていたりと、「生きている」場所だったのが印象的。
詩を書いて投稿する可愛いポストも。
海沿いの道へ出ると、山と海が見えてくる。この道サイクリングしたい〜
海沿いには、面白いデザインのアパートもいくつかありました。高そうだけど、眺めすごくキレイなんだろうな。
この辺には明治時代の住宅も並んでいます。現在は入れないものがほとんどだったけれど、丁度今年は明治から100周年記念の年にあたり、修復工事が行われます。今度来たら、見られるようになっているかな。
各著名人は、温暖な気候を気に入り、大磯に移住したとあるけれど、この日は強風でかなり寒かったです・・・。それでも諦めずに歩いて約20分。
城山公園につきました。
とても広い公園なのですが、敷地内にある旧吉田茂邸に入りました。
戦後の日本で、7年間に渡り総理大臣を務めた吉田茂の家。○1度焼失してしまったけれど、町民によって再建されたものが2017年4月から公開されています。(有料500円)
ちなみに大磯には、吉田茂も含めて、歴代の総理大臣8人が住んでいたんです。
立派な庭を通って、家へ。でかい。
この家が気に入っていた吉田茂は、週末ごとにこの家に帰ってきたそうな。
引退したあとは、この家に政治家などの大物が吉田茂に会いにこの家を訪れていて、そのことが「大磯参り」と呼ばれていました。
新しく建てられたので、「新築のモデルルーム」って感じがちょっとしちゃったけれど、元々の建築や間取りを忠実に再現しているので、「ここに、こんな風に住んでいたんだー」というのが想像できた。
読んでいた書籍がそのまま残っている本棚。息子・吉田健一全集もあって、ああお父さんなんだなぁって思いました。
ちなみに私にとって吉田茂は、NHKドラマの渡辺謙のイメージなのです。
西欧のもてなしに感動を受けて作った「ローズルーム」。
気に入って愛飲していた日本酒。
1番いいなーと思ったのは、「金の間」の景色。ここから太平洋と富士山が望めます。富士山を見るのがとても好きだった吉田茂。この場所から富士山を見てたんだなー・・・
あいにく雲がかかってはっきりは見えなかったけれど、雲の下に隠れていても富士山の迫力はすごい感じました。
そのあと寒すぎて散策は諦めて、公園内にある「城山庵」というお茶室で抹茶を一服いただいてのんびり。
また駅の方に向かって歩き出し、旧島崎藤村邸に寄りました。
亡くなる前の2年半を過ごした自宅跡が公開されています。中には入れないけれど、庭と外から部屋の様子が見られます。
「静の草屋」と称されているように、先ほど吉田茂宅を見ていたから余計、こじんまりと見えるけれど、「ちょうどいい」満ち足りた素敵な家でした。これくらいの家に住みたい。
島崎藤村は、亡くなる直前に庭からの風を受けて「涼しいねえ」と言って亡くなられた。その情景が浮かぶような家。
奥さんが書いた「明月(めいげつ)」の書もいいなぁ。
駅の目の前にある「澤田美喜記念館」という戦後に集めた隠れキリシタンの遺品の展示をしている場所も行きたかったけれど、時間が足りずに断念。
大磯をあとにしました。
東京まで電車で一本、歴史散歩の楽しい町でした。