サバイディー(こんにちは)!
いきなりですが、みなさん10月10日って何の日か知っていますか?
語呂の良さや音から、目の愛護デー、お好み焼きの日、おもちの日、おでんの日、釣りの日、肉だんごの日、萌えの日でもあるらしいのですが(笑)、10月10日は世界メンタルヘルスデー(世界精神保健デー)です。
少し遅くなってしまったのですが、今日は世界メンタルヘルスデーのことについて書きたいと思います。
世界メンタルヘルスデーって?
オランダに本部を置くNGOの世界精神衛生連盟(WFMH)が、1992年にメンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、ネガティブなステレオタイプ化に反論し、人々に体験発表の場を与えることを目的として、10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定める。その後、国連機関の世界保健機関(WHO)も協賛し、正式に国際デー(記念日)と認められる。現在は世界各地でメンタルヘルスに関連する啓発イベントなどが行われる。
(Wikipediaより)
日本ではあまり認知されていませんが、世界では(特に欧米)様々な啓発イベントやキャンペーンが行われています。
数字で見る世界の状況
今回のメンタルヘルスデーに合わせて出された、Basic Rights, Basic Rightsという団体のデータを見てみると・・・
- 全体的な病気の13%を精神疾患が占めている
- 世界で4億5000万人の人が少なくとも何らかの精神疾患を抱えている
- そのうちの75%の人たちが小・中所得国に住んでいる
- WHOによると、85%の人が何の支援や治療も受けていない
- 途上国では、国家予算の2%以下しかメンタルヘルスのために使われていない
この数字どう思いますか?
精神疾患による社会・経済的な影響は大きく、貧困とも深く関わっています。精神疾患を持ち、支援や治療を受けることが出来ないと、、日常生活を独立して営むことが出来なかったり、働くことが出来ない、お金が稼げない、ということに繋がっていきます。そして他の病気以上に差別やスティグマにも繋がっていて、基本的な人権の侵害にも繋がりやすいです。
日本も含めどの国も、改善できる事はたくさんあると思いますが、やっぱり途上国ではまだまだ後回しにされてしまうことが多い。”命に直接関わる”病気、分かりやすいと言うのも語弊があるかもしれないけど、分かりやすい他の問題が優先されている。精神保健って、どこか分かりづらくて、パーソナルで、イメージがあまりよろしくない。病気っていうより、その人個人の問題でしょ?って思われがちな気がします。
”同じような精神疾患は世界中の老若男女、金持ちにも貧乏にもみられる。鬱病は豊かさからくる病気でもなければ、貧困生活のせいでもない。生物学的、遺伝的、心理的、また社会的な要因に影響される複雑な病気だ。しかし治療によって貧困を固定化するような社会生活上の困難や病気のリスク、そのほかの問題を緩和できる。” (ニュースウィーク:「貧困国発のうつ病クライシス」)
もちろん環境や社会の影響もあるけれど、精神疾患は世界のどこででも同じように起こりうる。生まれた場所や国で、治療や支援を受けられるかが全然今違う。治療に対しては賛否両論あると思うけれど、それを選択できるところまでのアクセスがないのは、やっぱり問題だよなぁと思います。
心の健康は、私たちの”権利”
”Basic Needs, Basic Rights”
ラオスに着いてから、JICA事務所の近くで「Basic Needs, Basic Rights 」という団体の看板を見かけました。メンタルヘルス、という言葉が看板にあったので、えいっと「何してるんですか?」と聞きにいったら、とても親切に説明してくれました。
Basic Needs, Basic Rights は中国、インド、ケニア、ネパール、ラオス、スリランカ、南スーダン、ウガンダで活動している国際NGOで、精神疾患/てんかんを持つ人たち(特に地方コミュニティで)の支援を行っているとのこと。
(公式HP: Mental Health | Mental Health Charity | BasicNeeds )
活動内容もそうだけど、団体名でメンタルヘルス(心の健康)は、すべての人の"Basic Rights" (基本的権利)であると言い切り、その基本的権利は世界のどこででも実現されるべきだ、という考えで活動しているところがすごいなと思いました。
(ちなみにラオスの状況は、ラオス全体で2人しか精神科医がいません。「精神疾患」「精神障害」という認識自体がほとんどなく、「変な人」として見られて、ほっとかれたり、ひどい時は隔離されて終わり、というのが今の状態だそうです。)
権利ってなんだろう?
権利とは、何でしょうか?少し難しいですが、権利とは「社会全体が護るべき基準(ルール)にのっとり、求めることができるもの」ということができます。
似たような概念として、「道徳」や「倫理」といったものが挙げられます。ただし、「権利」が両者と決定的に
異なる点があります。それは、「(誰かに)実現することを要求できる」という点です。権利については、実現しなくてはならない責任者がいるのです。(アムネスティインターナショナルHPより)
このBasic Rights(基本的な権利)のコンセプトはすごくいいなと思った。当たり前の権利として、心の健康も、他の体の健康と同じように、生きていく上で必要不可欠であり、社会や国が保障すべきものであるって、もっと多くの人考えるようになったらいいな。
具合が悪くなったり、どこか怪我したら、躊躇しないで病院にいったり、誰かに助けを求める。それと同じように、心の健康が危なくなったら、病院にいったり、誰かに助けを求める。その人だけの責任なんかじゃない。「助けて」ってもっともっと私達みんなが必要な時に、言えるようにならないかな。
私は協力隊としてラオスに来る前に、精神障害を持つ人の社会復帰施設で3年間働いていました。(一応、精神保健福祉士という国家資格を持っています。)今は全然違う活動をしていますが、やっぱり気になる。仕事をしているときにあまり書けなかったので、少しずつ書いていきたい。
3年間働いて思ったことは、”人事ではない”ということ。そして"もっと周りの協力や理解が必要"ということ。
今回このBasic Needsから、世界メンタルヘルスデーのお知らせをもらって、久しぶりに考えました。心が健康な状態であること。なかなか実際に自分や周りの人に起こるまで実感がわかないかもしれないけれど、そのことが「当たり前」じゃない人もいる。周りの人や社会の助けを得て、心の健康が誰にとってもの「当たり前」になるべき、だし私たちにはその権利がある、と私は思う。
長くなってしまいましたが以上です。
今回の世界メンタルヘルスデーのような機会を通して1年に1度でも、少しでも考えるきっかけが持てるといいなぁ。ぜひ頭のどこかに、そんなことを考えるスペースがみんなの中にあるといいなぁ。そして私には何ができるかなぁ。
参考リンク
世界メンタルヘルスデー日本語記事
シルバーリボンがやっていた写真展。おもしろそう。
アムネスティーインターナショナル -私たちの生活を支えている「人権」と「権利」-
Basic Nees, Basic Rightsのメンタルヘルスデー動画