ラオス人はお酒が大好きだ。
日曜日の朝に散歩をしていると、朝から友達と集まって軒先でビールを飲む姿を必ずと言っていいほど見かける。
そんなラオス人が1年の内に3ヶ月禁酒をする期間がある。カオパンサー(入安居)からオークパンサー(出安居)までの3ヶ月だ。
ろうそくの前で祈る姿が、うつくしい。
国民の67%が仏教徒とされるラオスでは、仏教行事がさかんに行われる。
”カオパンサー”とは、ラオスをはじめとする東南アジア諸国で行われいてる仏教行事の1つである。
毎年雨期に合わせて、僧侶たちが寺に籠って修行に励む期間である。旧暦8月の十六夜にあたる日から、3ヶ月後の旧暦11月の満月の日までがその期間になり、今年は7月20日から10月16日にあたる。
生物が活発に育つ雨期の期間に一カ所に留まることで、無駄な殺生さけるという考えがはじまりだ。 この期間中、僧侶たちは1カ所に留まり(外泊は禁止されている)、いつも以上に集中的に瞑想などの修行に取り組む。また「出家することは得を積むこと」という考えられているラオスでは、この期間だけ出家する人も多いと聞く。
若いお坊さんの姿が目立った。新しく入りたてなのかな?
修行に取り組むのは、僧侶たちだけではない。人々もいつもと少しちがう生活を送る。
伝統的に「カオパンサー中は、みんな禁酒をするんだ」と聞いた。 実際に聞いてみたところ、18人のうち「3ヶ月禁酒をする」と答えたのは5人と、数はそう多くない。
生活スタイルが変わる中で、禁酒をする人の数はどんどん減ってきているようだ。 「禁酒する」と答えた男性は、「以前、お坊さんだった。今でもカオパンサーの期間は禁酒している。」という信仰上の理由を挙げる。
また他の女性は、「特に理由はないけれど、家族がずっと何年もそうしているから」。また今年はじめて禁酒に”挑戦”するという男性は、「いつもお酒を飲み過ぎているから、3ヶ月休んで健康を取り戻したい。カオパンサーといえば、皆分かってくれるから飲まないで済む。」と理由は様々だ。
禁酒をしない人も、この期間は結婚式は控えたり、喜捨の回数を増やしたりと、全体的に慎んだ暮らしをすることとなっている。また人によっては「買い物をしすぎない」「飲み過ぎない」「肉食を控える」などと自分なりの決まりをつくり、自分なりの”修業期間”とするようだ。
若いカップルも、お供えに来ていた。お供えの代わりに、お坊さんから祈りをかけてもらえる。
カオパンサーは祝日ではないが、職場によっては休日になったり就業時間を遅らせる場所もある。カオパンサー当日の朝は多くの人がお寺に行き、大規模な托鉢が行われた。修行期間の僧侶たちを支えるための袈裟やろうそく、お香などを渡す姿も見られた。
仏教行事のそもそもの宗教的な意味は、時代と共に薄れてきているかもしれない。しかし生活に根付いた文化として、今もラオス人の多くがカオパンサーをはじめとする仏教行事にいそしんでいる。
朝6時ころから、お寺に集まってくる人々。
夫婦の間に、灯る光。
若い子たちも、この日はみんな精一杯着飾ってお寺にくる。
托鉢の様子。
近所のもう1つのお寺にて。1通りの儀式が終わり、リラックスしてご飯を食べているところ。