2月のみかづき。

サンドラ・アアモド:なぜダイエットは成功しないのか【1日1TED:習慣化】

バイディー(こんにちは)

「習慣」をテーマにしてきた、1日1TED1週間目のラストは、サンドラ・アアモドの「なぜダイエットは成功しないのか」です。

ラオスに来て、5kg以上太って焦っているんですけど、、、ダイエットって成功しないんって!それってほんと?

(原題:Sandra Aamodt "Why dieting doesn't usually work.") 

1. どんなスピーチ?

スピーカーの Sandra Aamodtは、脳科学者 (neuroscientict) であると同時に科学ライター(science writer)でもあります。自身のウェブサイトや著作で、一見とっつきにくそうな脳の不思議について、人々の生活に関連したことを分かりやすく紹介しています。

そんな彼女が、TEDで今回話しているのは、ダイエットと脳の働きの関係について。

彼女自身の個人的な経験も交えながら、なぜダイエットは上手くいかないのか、ダイエットにとらわれない、別の食事や自分の体との付き合いかたを提唱しています。

 

2. 3つのお気に入り

さて、それではスピーチの方を見ていきましょう。冒頭はこんな風にはじまります。

Three and a half years ago, I made one of the best decisions of my life. As my New Year's resolution, I gave up dieting, stopped worrying about my weight, and learned to eat mindfully. Now I eat whenever I'm hungry, and I've lost 10 pounds.
(3年半前、私は人生の中でも最もよい決断をしました。新年の誓いとして、ダイエットを諦め、体重を気にするのをやめることにしました。そのかわりに、マインドフルに、五感を使って食事をすることを学んだのです。今ではお腹が減ったときはいつでも食事をしますが、それでも約5kg減量したのです。)

 

しょっぱらから、なんと!な発言です。「ダイエットをやめたら、体重が減った」?
そんな上手い話があるのか。。また新手のダイエット食品の宣伝かなにか?

しかし、スピーカーのサンドラさんは、脳科学者です。

科学的なデータを使って、なぜ「ダイエットは成功しないのか」を説明していきます。

私たちの体を、調整しているのは脳。その脳は、私たちの「やせたい」という気持ちと裏腹に、気付かないところで私たちの意思とは異なる働きをしています。

 

 Our brain also has its own sense of what you should weigh, no matter what you consciously believe.This is called your set point, but that's a misleading term, because it's actually a range of about 10 or 15 pounds. You can use lifestyle choices to move your weight up and down within that range, but it's much, much harder to stay outside of it. (私たちが意識的に考えているのとは別に、私たちの脳は独自の「この位の体重であるべき」という基準を持っています。これは、「セットポイント」と呼ばれているものです。少し分かりづらいのですが、だいたい5-7kgの間で推移します。この範囲であれば、生活習慣によって体重を上下させることが出来ますが、範囲外へ変化することは大変難しいのです。)

 

脳は、急激に体重が変動することを恐れます。 できるだけ、今と同じ体重の範囲、セットポイントのあたりにいるようにあの手この手を使っているのです。

 これは、先祖の時代の飢餓を生き抜くために、脳にそういう風にインプットされているとのこと。飽食の今、食べ物が簡単に入るなかで、その脳の仕組みだけ残っちゃって、どんどん肥満の人が増えていく。

 

This may explain a very sad fact: Set points can go up, but they rarely go down. Now, if your mother ever mentioned that life is not fair, this is the kind of thing she was talking about. (Laughter)(そしてこれは悲しい事実なのですが、セットポイントは上昇可能ですが、中々下がりにくいのです。お母さんが「人生は不公平なのよ」なんて言ってたのは、こういうことなんです。(笑))

 

1度太ってしまうと、そこを基準にしてセットポイントが決まってしまう。でも痩せたときは、元に戻ろうとする。ほんとなんて不公平なんだ・・・・! 

ダイエットをして、体重を落とそうとすればするほど、悪循環になっていく、と。データでは、ダイエットをして実際に痩せた人よりも、かえって体重が増えた人の方が多いとも。

うーん、じゃあ、どうしたらいいんだい。そこで最初にあった、「5感を使って食事をすること ( Mindful Eating )」が出てくるのです。

 

I'm talking about mindful eating: learning to understand your body's signals so that you eat when you're hungry and stop when you're full, because a lot of weight gain boils down to eating when you're not hungry. How do you do it? Give yourself permission to eat as much as you want, and then work on figuring out what makes your body feel good.
(5感を使って食事をすること。体のサインを理解するようになること。そうすれば、お腹が減ったときに食べて、お腹がいっぱいになったら止めることができます。体重の増加というのは、突き詰めればお腹が減っていない時に食べてしまうことにつきるのです。好きなだけ食べていい、と自分に許可をあげて、自分の体がどうしたら気持ちよくいれるのかを知ってください。)

Sit down to regular meals without distractions. Think about how your body feels when you start to eat and when you stop, and let your hunger decide when you should be done. It took about a year for me to learn this, but it's really been worth it. I am so much more relaxed around food than I have ever been in my life.
(普段の食事のときに、しっかり座って他のことに気を散らさずに食べてみてください。食べ始めるときと、食べ終わったあとに、体がどう感じているかに耳を傾けてみてください。そして、あなたの空腹に、どこで食事を止めるかを決めさせてください。このことを学ぶのに、私は1年かかりました。しかし、本当にやってよかったです。今までの人生でないくらい、食事に関して、リラックスした気持ちでいるからです。)

 

アメリカでは10歳になるまでの女の子の8割が、ダイエットを経験しているそう(!!)

スピーカーのサンドラ自身も、13歳のころからダイエットを繰り返してきて、何度も失敗してきて、食べることと、ずっと上手く付き合えなかった、と。「ダイエットをする」ことよりも、もっと自分の体と食事と向き合うことが大事なんだよって、13歳の時に教えてもらいたかった、という彼女自身の切実な言葉でスピーチは幕を降ろします。

 

3. 新しいことばたち

  • (food) bingeどんちゃん騒ぎ、ばか食い
  • that's how I row:そうやって生活してる
  • collateral: 担保、付随する部分、二次的な
  • hypothalami: 視床下部  

 

4. 感想

「痩せること」がたくさんの女の子・女性の目標になっている今。たくさんの「ダイエット方法」は世の中に出回っているけれど、どれだけの人が成功しているんだろう。

私もラオスに来て最初のころ、ストレスもあってか、結構暴食してしまっていました。(屋台とか手頃で安いし・・・)

その時にアドバイスしてもらったのが、「食べるときは食べることだけに集中すること」。まさに mindful eating。ながら食べしていると、頭の快感や刺激だけで、体とうまく繋がらない食事になってしまう。集中して食べるって、意外に難しいものです。食べ始めるときと最後に体に意識を向けること、やってみたい。

それにしても、女の子のダイエット経験の比率の高さに驚きました。(日本はどうなんだろう)食べることって、生きていくことの基礎の基礎。子供のころに、「やせること」を基準にした食べ方を覚えるんじゃなく、自分の体と食事の関係を学んで、本当に体が欲しているものを食べることの大切さを、学べるようといいよなーーー。

いいスピーチでした!

 

5. スピーチについて

 Sandra Aamodt: Why dieting doesn't usually work | TED Talk | TED.com

Event:  TED Global 2013

Date:  Jun 2013

Length: 12:42