2月のみかづき。

【ほぼ1日1TED】アイザック・リッズキー:あなたはどんな「現実」を生み出していますか?

バイディー(こんにちは)

先日に引き続き、"How we can be better going foward in 2017" (よりよく2017年を過ごしていくために) というプレイリストからスピーチを紹介していきます。

今日は、とても courageousでlion-hearted なスピーチを。アイザック・リッズキーの「あなたはどんな現実を生み出しているのか?」です。

(原題:Issac Lidsky  "What reality are you creating for yourself?") 

1. どんなスピーチ?

スピーチの最初に、彼自身について5つのことが述べられます。その中の1つが嘘だといいます。さて、どれだと思いますか?

 

  1. 19歳の時に、数学で優等学位を取りながら、ハーバード大学を卒業した
  2. 現在フロリダ・オーランドで、建設会社を建設している
  3. シットコム(アメリカのホームドラマ)に出演していた
  4. 珍しい遺伝の病気で、視力を失った
  5. 2人の米最高裁判事の法務書記員として働いたことがある

 

答えは・・・全部本当!(ずこーーっ)それにしても、すごい経歴です。

そんな eclectic (多方面で活躍してきた) Issac Lidsky が、視力を失ったことで気付いた私たち自身が作り出している「現実」について、どうしたら "eyes wide open"な状態で生きていけるのか。 力強く聴衆に届けます。 

 

2. スピーチの抜粋

"Our lives are full of fish swimming backwards. We make assumptions and faulty leaps of logic. We harbor bias. We know that we are right, and they are wrong. We fear the worst. We strive for unattainable perfection. We tell ourselves what we can and cannot do. In our minds, fish swim by in reverse frantically wagging their heads and we don't even notice them."

 (私たちの生活は、「後ろ向きに泳いでいる魚」でいっぱいです。物事を音速して、倫理の飛躍をしたり、偏見を抱いたり。自分が正しく、彼らは違っていると思っていたり。最悪を恐れ、手に入らない完璧さを求めます。私たちは、自分に出来ること・出来ないことを自分自身に言い聞かせているのです。このように私たちの心には、一生懸命頭を動かして、反対方向に泳いでいる魚がいるのに、そのことにすら気付いていません。)

スピーカーも、この「心の中の魚たち」に気がついていなかったといいます。25歳のときに、完全に視力を 失うまでは。

だんだんと視力を失う過程を、こんな風に言葉にしています。

Then, from age 12 to 25, my retinas progressively deteriorated. My sight became an increasingly bizarre carnival funhouse hall of mirrors and illusions.

(12歳から25歳のときにかけて、網膜が急激に悪化しました。それにより、私の視界は突如、とても奇妙な、そう遊園地にある「鏡と幻想の屋敷」といったびっくりハウスのようになったのです。)

"The salesperson I was relieved to spot in a store was really a mannequin. Reaching down to wash my hands, I suddenly saw it was a urinal I was touching, not a sink, when my fingers felt its true shape. A friend described the photograph in my hand, and only then I could see the image depicted.”

(ようやくの思いでみつけた店員がマネキンであったり、手を洗おうと洗面器に向かっていたら、便器にだったことに触れて気がついたり。手の中にある写真を、友達に説明してもらうことではじめて「見る」ことが出来るのです。)

Objects appeared, morphed and disappeared in my reality. It was difficult and exhausting to see. I pieced together fragmented, transitory images, consciously analyzed the clues, searched for some logic in my crumbling kaleidoscope, until I saw nothing at all.

(私の「現実」の中で、物は現れ、形を変え、消えていきました。見ることは、難しくひどく疲れるものでした。断片的ではかないイメージをつなげ合わせ、ヒントを分析し、崩壊しつつある万華鏡の中で何かしらの倫理を見いだそうとしていました。視力を完全に失うまで、そんな状態が続いたのです。)

 

私たちの脳は、情報の30%を、視覚から得ています。一秒に、目は20億もの視覚情報を脳に送っているそうです。触覚から8%、聴覚からはたったの2〜3%の情報を得ていないことからも、どれだけ私たちが目からの情報に頼って、「現実」を認識しているかが分かります。

視力を失うことで、今まで見えていた「現実」がどんどんと変化していく。その経験から、彼は「現実」というのは、普遍的なものではないのだと気がつきます。

 

"I learned that what we see is not universal truth. It is not objective reality. What we see is a unique, personal, virtual reality that is masterfully constructed by our brain."

(そして、私たちが見ているものは、普遍的な真実でないことを学んだのです。それは客観的な現実ではなく、脳によって作られたユニークで個人的なバーチャルな現実を私たちは見ているのです。)

"To create the experience of sight, your brain references your conceptual understanding of the world, other knowledge, your memories, opinions, emotions, mental attention. All of these things and far more are linked in your brain to your sight. These linkages work both ways, and usually occur subconsciously. So for example, what you see impacts how you feel, and the way you feel can literally change what you see."

(なにかを見るとき、あなたの脳は、自身がどのように世界を見ているか、その他の知識、記憶や意見、感情や、何に注意を払っているかといったことを参照します。これらのこと全てが、あなたの脳の中、そしてあなたが見るものに繋がっているのです。またこの繋がりは両方向に渡っていて、多くの場合は、無意識的に起こっています。例えば、あなたが見るものは感情に影響を与えますし、あなたの感情は、あなたが見るものを実際に変えてしまうのです。)

 

So how do you live your life eyes wide open? It is a learned discipline. It can be taught. It can be practiced. I will summarize very briefly.

(ではどうしたら、しっかりと目を開いて「現実」と向き合っていけるよでしょうか?学んで身につけられることです。練習すればできるようになることです。ごく簡単に お伝えします。)

Hold yourself accountable for every moment, every thought, every detail. See beyond your fears.Recognize your assumptions. Harness your internal strength. Silence your internal critic. Correct your misconceptions about luck and about success. Accept your strengths and your weaknesses, and understand the difference. Open your hearts to your bountiful blessings.

(どの瞬間、どんな考え、どんなに細かいことにも、責任をもつことです。恐れを手放してみてください。自分が抱いている想定に気がついてください。内側に秘めた力をもっと活用してください。心の中の否定的な声を止めましょう。運や成功に関する間違った考えを変えましょう。自身の強さと弱さを受け入れて、違いを理解しましょう。そして、豊かな恵みに心を開いてください。)

Your fears, your critics, your heroes, your villains -- they are your excuses, rationalizations, shortcuts, justifications, your surrender. They are fictions you perceive as reality. Choose to see through them. Choose to let them go. You are the creator of your reality. 

(あなたの中にある恐れ、批判、ヒーロー、悪者・・・これらは皆あなたの言い訳、合理化、近道、正当化、降伏なのです。あなたが現実だと思い込んでいる、つくり物なのです。それをよく見つめて、手放すことを選びましょう。あなたは、自分の手で「現実」をつくっているのですから。)

 

3. あたらしい言葉

  • retina: 網膜
  • wag: しっぽを振る、ひょうきんもの(古)
  • magna cum laude: (ラテン)優等

 

4. 感想

短いスピーチなのですが、随分とたくさん引用してしまいました。 

「私たちは、私たち自身を通して世界を見ていること」なんとなく聞いたことがある考えだけれども、スピーカーの経験や経歴、美しい言葉や、まっすぐと堂々とした姿勢に打たれました。

自分でどんな「現実」を生み出していくのかを選ぶこと、その選択に責任を持つこと。

スピーチのあとの、”How is to be a blind CEO?"という質問への回答も、思わず拍手したくなっちゃう。ぜひ見てみてください。

 

5. スピーチについて

Isaac Lidsky: What reality are you creating for yourself? | TED Talk | TED.com

Event: TED Summit 

Date: Oct 2016

Length: 11:46

 

プレイリストはこちら。