2月のみかづき。

【ほぼ1日1TED】アンジュリア・ダス:あらゆる色の肌に宿る美しさ

バイディー!ラオスからこんにちは。

今週は、"How we can be better going foward in 2017" (よりよく2017年を過ごしていくために) というプレイリストからスピーチを紹介しています。

今日のスピーチは、アンジュリア・ダスの「あらゆる色の肌に宿る美しさ」です。タイトルの日本語訳もうつくしい!

(原題:Angellica Dass "The beauty of human skin in every color") 

 

1. どんなスピーチ?

あなたの肌の色は、「何色」ですか?

スピーカーは、ブラジル出身の写真家 Angellica Dass。彼女は、自身の経験や疑問から"humanae"というポートレイト プロジェクトをはじめます。

"document humanity's true colors" するために、13カ国の19の街で、3,000人以上の写真を撮りました。彼女の個人の物語からはじまったプロジェクトが、人々がもつユニークな肌の色を敬い、祝福する大きなプロジェクトとなっていきます。

 

2. スピーチの抜粋

まず自分の「カラフル」な家庭について、スピーカーが話します。

I was born in a family full of colors. My father is the son of a maid from whom he inherited an intense dark chocolate tone. He was adopted by those who I know as my grandparents. The matriarch, my grandma, has a porcelain skin and cotton-like hair. My grandpa was somewhere between a vanilla and strawberry yogurt tone, like my uncle and my cousin. My mother is a cinnamon-skin daughter of a native Brazilian, with a pinch of hazel and honey.

(私は、たくさんの色に溢れた家庭に生まれました。メイドだった祖母から、とても濃いチョコレート色の肌を引き継いだ父。父は養子になりました。母家長である祖母は、陶器のような肌と綿糸のような髪の持ち主でした。祖父の肌は、叔父やいとこと同じ、バニラと苺ヨーグルトの中間のような色。ブラジル出身の母は、少しのはしばみ色とはちみつ色が混じった、シナモン色の肌をしています。)

こんな風に肌の色を表現できるなんて!それにしても美味しそうだ・・・

そんなカラフルな環境に生まれた彼女にとっては、「肌の色がちがうこと」は当たり前のことで、特に気にしていなかったと。でも家の外に出てはじめて「肌の色がちがうこと」が、人が人をどのように見るのかに大きな影響を与えていることを知ります。

彼女がスピーチの中で述べている、肌の色にまつわるエピソードは、「いまだにそんなことを言われるの?!」とびっくりすることばかり。

スペイン人と結婚することにより、肌の色について、周囲から尋ねられることがますます増える中で、彼女はあるプロジェクトを思いつきます。

Since then, a new question started to chase me. What will be the color of your children? As you can understand, this is my last concern. But thinking about it, with my previous background, my story led me to make my personal exercise as a photographer. And that is how Humanae was born.

(結婚してから、「あなたたちの子供の肌の色はどうなるのかな?」という新しい質問につきまとわれるようになりました。皆さんお分かりのように、私にとってはどうでもよいことでした。

しかし自分の家族や経験と照らし合わせて、そのことについて考えるうちに、写真家としてある個人的なプロジェクトを思いついたのです。このようにして Humanae は生まれました。)

Humanae is a pursuit to highlight our true colors, rather than the untrue white, red, black or yellow associated with race. It's a kind of game to question our codes. It's a work in progress from a personal story to a global history.

(Humanae は、私たちの「本当の色」に注目するためにはじまったのです。白、赤、黒、黄色のように人種に結びついた、偽りの色ではない、本当の色です。これは私たちの中にある暗号を解き明かすゲームのようなものです。そしてこの一連の作品は、個人的な物語から世界の歴史へと進化しつつあります。)

I portray the subjects in a white background. Then I choose an 11-pixel square from the nose, paint the background, and look for the corresponding color in the industrial palette, Pantone.

(モデルを白い背景の前で撮影し、彼らの鼻から 11ピクセルの四方形を選び出し、その色で背景を後から塗ったのです。そして、その色に相当するパントーンにおける色を探したのです。)

世界中で、老若男女、色々な立場の人の写真を撮り、彼らの肌にそれぞれ色を与えていく内に、このプロジェクトはどんどんと多くの人を巻き込んでいきます。

SNSでの広がりから、美術館での展覧会や、公共の場への掲示へと繋がっていき、自分の「肌の色」について悩んでいる人たちの元へも届きました。

Those portraits make us rethink how we see each other. When modern science is questioning the race concept, what does it mean for us to be black, white, yellow, red? Is it the eye, the nose, the mouth, the hair? Or does it have to do with our origin, nationality or bank account?

(これらのポートレイトは、私たちがお互いをどのように見ているのか、改めて考えさせてくれます。近代の科学が、人種についてのコンセプトに対して疑問を投げかけている中で、黒人、白人、黄色人種、赤色人種であるということは、どういうことなのでしょう?目、鼻、口、髪のこと?それとも私たちの出身地、国籍、それとも銀行口座が関係しているのでしょうか?)

This personal exercise turned out to be a discovery. Suddenly I realized that Humanae was useful for many people. It represents a sort of mirror for those who cannot find themselves reflected in any label.

(この個人的なプロジェクトは、大きな発見になりました。Humanae は多くの人にとって有益であることに突如気がついたのです。これらのポートレイトは、自身にどのグループにも当てはめられない人々にとって、鏡のようになり得るのです。)

 

様々なバックグラウンドが混じり合う世界で、「黒人」「白人」「黄色人種」「赤色人種」なんて単純な色に分けるなんてナンセンス。私たちは、もっとずっとカラフルだ。

 

As a photographer, I realize that I can be a channel for others to communicate. As an individual, as Angélica, every time I take a picture, I feel that I am sitting in front of a therapist. All the frustration, fear and loneliness that I once felt ... becomes love.

(写真家として、私は他の人とのコミュニケーションの架け橋になれることを知りました。そして1人の Angelica という人間として、写真を撮る度に、セラピストの前に座っているような気持ちになるのです。今まで感じていた全ての葛藤や恐れ、そして孤独が、愛へと変わるのです。)

The last country -- the last country in the world who abolished slavery is the country where I was born, Brazil. We still have to work hard to abolish discrimination. That remains a common practice worldwide, and that will not disappear by itself.

奴隷制度が最後に廃止された国は、私の祖国ブラジルです。偏見をなくすためには、まだまだやらなければいけない事がたくさんあります。それは、他のどの国でも同じだと思います。そして偏見は努力なしに自然に消えるものではないのです。)

 

3. あたらしい言葉

  • matriarch: 母家長
  • Spaninard: スペイン人
  • pantone: パントーン。米国式のデザインの色彩材料システム。色材料をすべて番号・略号で体系化・統一化している

 

4. 感想

今日もたくさん引用してしまいました。(日に日に引用が増えていく・・・!)

普段そこまで、自分の肌の色って意識しなかったなぁ。

そういえば前に、色々なヌードカラーにあわせた下着 "Nude for All" が販売されたというニュースを見ました。これもきれいだよなぁ。

f:id:mikachanko4281196:20170106235423j:plain

(Naja | Premium Lingerie with a Social Impact. Do-Good Underwear. )

自分の肌の色ってもっと大事にしていいんだ。誇りにおもっていいんだ。ユニークなものなんだ。
「茶色」「黄色」っぽい日本人の肌・・・じゃなくて、誰ともちがう私だけの肌の色。(ラオスにきて、かなり日に焼けて変色しているけど!)

そんなことを思わせてくれるスピーチでした。

 

5. スピーチ情報

Angélica Dass: The beauty of human skin in every color | TED Talk | TED.com

Event: TED 2016

Date: Feb 2016

Length: 11:27

 

humanae プロジェクトのホームページ。


このスピーチがのったプレイリストはこちらっ。


今週のその他のスピーチたち。