2月のみかづき。

上野でゴッホな一日。映画「ゴッホ最後の手紙」とゴッホ展の感想

もうすっかり終わったと思っていた映画ゴッホ〜最期の手紙〜」がまだやっていると聞いて、年明け早々見に行ってきました。

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ちなみに外国からきたゲストに聞いたのですが、英語だとゴッホって "Van Gogh" (バン・ゴッッ)って呼ぶから、最初「んん!?」ってなりました、はい。

映画館は、新しく御徒町に出来た 上野のTOHOシネマズ。PARCO-ya はそんなに混んでいなかったけれど、朝9時からの早い上映なのに、9割位席は埋まってました。

 

まずはなんといってもこの映画は、全編が油絵で描かれているんです。

最初のクレジットから皆、手描き。

この映画の作成過程は聞いただけでも気が遠くなりそう。最初に俳優が演技したものを実写として撮影して、それをもとにして100名以上の選ばれたゴッホの筆遣いを訓練した習得したアーティストたちが油絵を65,000枚以上作成して、それをまた繋ぎ合わせたというもの。

すごい敬意がないと、とてもじゃないとできないんだろうなぁ。

最初の方は絵の一部がくねくね動いたりするのが慣れなくて、気持ち悪くなりそうだったけれど、なんとも贅沢な96分。

美術にあまり詳しくない私でも知っているゴッホのあの作品たちに、命が吹き込まれたみたいに、物語が動き出していくのに感動しました。

 

ストーリーは、ゴッホが弟へ宛てた手紙を届けていた郵便局長の息子が、届けられなかった手紙を届けにいく所から始まります。

届けようと思っていた弟が既に亡くなっていたことを知り、ゴッホが最後の日々を過ごした町へ行くことに。

 

この町で出会う人からゴッホについての全く違った話を聞くにつれて、最初は全然乗り気じゃなかった彼が、ゴッホの最期が本当に自殺であったのか疑い、探偵のようにどんどん聞き込みをしていきます。

現在は色鮮やかな油絵、過去は白黒で描き分けられていて、2つが交差しながら物語が進んでいきます。

ゴッホの死因は、謎が多いといわれていますが、「ピストル自殺」というのが最も広く信じられているものです。

それがこの映画で別の死因を描くのかな・・・いいのかな・・・・とちょっとドキドキしながら見ていました。

 

はっきりとしたネタばれは避けますが、「誰も悪くない」結末だなぁと思いました。

証言をするこの町に住んでいる人たちは、皆ゴッホの絵のモデルになった人たちで、実在した人物たちです。(俳優も似ている人が選ばれたそう!)

どの位彼等の言葉が本当の記録から来たものかは分からないけれど、彼等から見たゴッホ、その過去によって、映画の中の過去のシーンも変わっていく。

何が本当だったんだろう?今となっては、もうきっと誰も知ることが出来ない。

色んな可能性を浮かび上がらせて、最後は1つの仮設をふわっと用いながら、断定はしない。死に方よりも、色々な人の違う視点からゴッホがどう生きたのかを、観客が知ることができたらいいと思って作られたのかな。

 

前に「ゴッホの手紙」というゴッホが弟のテオや友人たちに宛てた手紙を収めた本を読んだ事があります。

 

筆まめだったゴッホの手紙がたくさん残されていて、文庫本だと上・中・下巻の3冊!課題図書だったので、中々読み終われず「うぎゃーーー」ってなった覚えがあります。笑 けっこう読み飛ばしました。そして読んでですごく苦しかった。

人の手紙なんて覗き読むものじゃないよなーと思いながら、長いもがきの中で、テオへの信頼や自分への手応えが、確かな光が感じられた時の喜びも、ゴッホ本人の言葉で残っていたのがすごいなと思いました。

この本で、ゴッホの内面は少し除き見たことがあったけれど、こうやって他の人からみたゴッホの生き方に触れられて、私的に面白かった。ほぼ読んだ内容覚えてないけれども・・・。

 

ゴッホは何でこんなに必死だったんだろう?

認められたかった。自分の中の光を表現したかった。何者かになりたかった。テオに報いたかった。もうこれしかなかった。

37歳かぁ。死なないで、描き続けられる道はなかったのかな。

 

映画の最後に、ゴッホ自身の言葉で彼の願いが語られているのですが、この映画が生まれたっていうことも、その願いが叶ったという、1つの証拠だと思います。よかったなー。

 

映画の興奮が冷めぬまま、そのまま今度は上野公園内にある東京都美術館に行きました。

もちろん、ゴッホ展~巡り行く日本の夢~を見るためです。残念ながら、これを書いている今日が最終日です。

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美術館に入ると、年明け早々なのに、「ただいまたいへん混雑しております」のお知らせが・・・。ゴッホ人気恐るべし。(日本人って、他の国の人と比べて、ゴッホ好きなのかな?)

今回の展示では、パリで浮世絵に出会ってから、日本への憧れを持つようになったゴッホが、どのように日本の芸術を、自分の作品に取り入れていったのかを、浮世絵も展示しながら表したものがメイン。

それ以外にも、日本とゴッホの関係もフューチャーされてました。

生涯日本に訪れることはなかったゴッホが、「独自のそして強固な『日本のイメージ』を自らのうちに築き上げていった」からこそ生まれた作品たち。

 

油絵ってすごい。近くで見ると、ブラシの運びの1つ1つが目の前にあって、この作品をつくったゴッホ、本当にいたんだ。彼が考えて、つくった作品が今ここにあるんだーー!って静かに感動しました。

麦畑が1番すきだったなー。でも実際に見た絵の空の色、もっともっとキレイだった!

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展示会オリジナルグッツもたーくさん売られてました。マグネットからお菓子、くつした、毛糸(!)など、ゴッホの作品の活用されように、びっくり。

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関連書籍もたくさん。この原田マハさんの小説読みたい。

たゆたえども沈まず

たゆたえども沈まず

 

 

映画と展示会で、ゴッホの世界を満喫した1日でした。

 

 

 

 

おまけ

映画のホームページより。

公式グッツのゴッホくん。耳が取り外しできるらしい・・・そんな機能誰が喜ぶのー?(笑)
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おまけ

これまた映画のホームページより。ゴッホ役に選ばれた俳優のコメントが面白い(笑)確かにあんまり出番なかったけれど、そんな理由で・・・!


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映画公式HP