2月のみかづき。

【TED 教育】リタ・ピアソン:すべての子どもに強い味方を

サバイディー!ラオスから、こんにちは。

さぁ教育のスピーチを引き続きみていきましょう。

今日のスピーチは、リタ・ピアソンの「すべての子どもに強い味方を」です。いやーーーーかっちょいいスピーチです!

(原題:Rita Pierson "Every child needs a champion")   

 

1.どんなスピーチ? 

スピーカーの Rita Piersonは、祖父母・両親みんなが教師という、教師一家に生まれました。そして自身も、40年以上に渡り教師として働き続けて、常に学校や教育のことを考えて続けてきました。

たくさんのことを見聞きし経験してきた彼女が伝えたいのは、タイトルにもある"Every child needs a champion "(すべての子どもは味方を必要としている)ということ。 

私もこのスピーチで知ったのですが、champion というのは、「1番」という意味だけではなく、”An ardent defender or supporter of a cause or another person"(だれかの熱心な擁護者・支援者)という意味もあるのですね。

彼女自身の経験もまじえながら、笑いもたっぷりなこのスピーチ。とても candid (素直・正直)で、powerful。

今まで見た TEDスピーチの中で、1番観客が笑ったり拍手している気がします!そんな見ている人の心をわしづかみにするスピーチです。

 

2.スピーチの抜粋 

 長年教師をしてきたスピーカーは、「子どもが学ばない」のにはたくさん理由があるといいます。その中でも見落とされてきたのが、教室における「人間関係の大切さ」だといいます。

We know why kids don't learn. It's either poverty, low attendance,negative peer influences... We know why. But one of the things that we never discuss or we rarely discuss is the value and importance of human connection. Relationships.

 (私たちはなぜ子どもが学ばないのかを知っています。それは貧困であったり、低い出席率だったり、ネガティブな影響だったりします。なぜかは分かっているのです。ただ1つだけ、今まで議論されてこなかったことがあります。人と人とのつながりの価値や重要さについて、ほとんど議論されてこなかったのです。そう、人と人との関係についてです。)

 

James Comer says that no significant learning can occur without a significant relationship. George Washington Carver says all learning is understanding relationships. Everyone in this room has been affected by a teacher or an adult. 

 (ジェイムス・コマーはこのように言っています。「意義のある学びは、意義のある関係をなくしてはありえない。」と。ジョージ・ワシントンカーバーは、「すべての学びは、関係性を理解することだ」と言っています。この部屋にいる全ての人が、大人や先生に影響を受けてたのです。)

 

学びをの前提として、positive relationship (前向きな関係性)があるべきだ、とスピーカーは語ります。

しかし同じ教師でも、スピーカーとは違う意見を持っている人はいます。

 

A colleague said to me one time, "They don't pay me to like the kids. They pay me to teach a lesson. The kids should learn it. I should teach it, they should learn it, Case closed. 

(ある時、1人の同僚が私に言いました。「子どもを好きになることに対して給料をもらってないわけじゃない。授業をすることに対してお金をもらっているの。子どもたちは学ばなきゃいけないの。私は教える、子どもは学ぶ。それだけでしょう。」と。)

Well, I said to her, "You know, kids don't learn from people they don't like."

 (私は彼女にこう返しました。「子どもたちは、彼らが嫌いな人からは学ばないのよ。」とね。)

 

子どもたちと、positive relationship を持つために、スピーカーは子どもたちの味方であり続けようとします。

「おちこぼれ」のクラスを担当することになったとき、彼女は子どもたちに自身を肯定する言葉を何度も何度も伝えます。

 

And I gave them a saying to say: "I am somebody. I was somebody when I came. I'll be a better somebody when I leave. I am powerful, and I am strong. I deserve the education that I get here. I have things to do, people to impress, and places to go."

(私は子どもたちに、「私は、重要な人なんだ。ここに来たときもそうだったけど、学校を卒業するときには、もっと重要な人になっている。私には力がある。私は強い。私はここで教育を受けるに値するんだ。私にはやることがあって、感銘を与える人がいて、行く場所があるんだ。」と言わせるようにしました。

You say it long enough, it starts to be a part of you.

(何度も繰り返しているうちに、言葉はあなたの一部となっていくのです。)

 そして出来なかったところではなく、出来たところへと目を向けて、子どもたちの可能性を摘み取るのではなく広げようとします。

 

Teaching and learning should bring joy. How powerful would our world be if we had kids who were not afraid to take risks, who were not afraid to think, and who had a champion? Every child deserves a champion, an adult who will never give up on them,who understands the power of connection, and insists that they become the best that they can possibly be.

(教えること、学ぶことは、喜びをもたらすものであるはずです。もし子供たちがリスクを冒すことを恐れず、考えることを恐れず、そして心強い味方が彼らのそばにいたら、この世界はどれだけパワフルなものになるでしょう。すべての子供に、味方がいるべきなのです。つながりの力を理解し、子供たちの最大限の成長を後押しする味方が、です。)

 

全ての子どもを好きはなれないし、やりにくい子どもたちもいる(やっぱりそうか!)時には全く間違ったことを教えてそれを謝ったりしながら(笑)それでも、教師として子どもの味方でいつづける。

 

Is this job tough? You betcha. Oh God, you betcha. But it is not impossible. We can do this. We're educators. We're born to make a difference.

 (大変な仕事だと思いますか?もちろん、とても大変ですよ!でも、不可能ではないのです。私たちならやれるのです。私たちは教育者です。私たちは、変化を起こすために生まれてきたのですから。)

  

3.あたらしい言葉 

  • bunch of honey
  • arduous: 努力を要する、骨の折れる

 

4.感想 

短いけれども、ずっと残るスピーチです。正直すぎる話しぶりに、観客と一緒にたくさん笑いながら、「先生」ってやっぱりすごい、と思わされます。

クラスの中に、positive relations がなければ、生徒は学ばない。うむ。

そして最初から最後の去り際までかっこいいよ、Ritaさん。うわーもっとスピーチ聞きたい!と思ったら、なんとこのスピーチの数ヶ月に亡くなられたと・・・。ええええ。そんな、急に。びっくり・・・。

スピーチの中で、同じく教師だった母親が亡くなったことに触れて、"She left a legency of relationships that could never disapper."と言っていましたが、彼女もたくさんの relationships を生み出したんだろうなぁ。

 

5.スピーチについて 

Rita Pierson: Every kid needs a champion | TED Talk | TED.com

Event: TED Talks Education

Date: May 2013

Length: 7:48

 

Huffington postに、リタ・ピアソンが寄稿した記事です。

"Of course, we can do just about anything online, including teaching and learning. But I guess I am just old school. I want to look into your eyes when the answer finally dawns on you. I want to hear that inflection in your voice when you are angry with me. I want to see the smile on your face when you forgive me. I want to share in the joy when we both realize that we make a good team."